去年の秋、縁あって裏ばの葺き替えをさせていただいたお宅。
葺き替えが終わってほっとした日、いただいたメール。
とてもありがたく、たまに見るように大事にしまっておきたい言葉たちですが、茅葺きの家を購入して、実際に住まわれている若い家族のこと、知っていただきたいと思い、掲載の許可を頂きました。
以下引用です
時代錯誤と言われつつも、茅葺きの古民家で子育てをするというのが僕の人生の夢でした。
その夢が現実の形を持てるようになったのは、間違いなく松木さんがいたからです。
友人達に、屋根どうすんの?と聞かれ、いったい何回松木さんのことを説明したでしょうか。
この家に出会ったこと、松木さんと知り合えたこと、4人の子供に恵まれたこと、今はなにか一連の導きのように感じます。
この国が始まって以来、竪穴式住居に始まって、いったい幾世代が茅葺きの屋根に住み続けてきたでしょう。 いかに科学が発展しても、生命としての人は、あくまで生身の人間です。 先人たちの知恵が育んだ、地域の自然に調和した暮らしに、僕は限りなく郷愁を感じます。
自分の暮らしの細部にまでもっと関わり、もっと責任を持ちたいという、現代ではある意味わがままでぜいたくな考えを僕は持っています。
松木さんの丁寧な仕事、地に足着いた考え方、自然体な暮らしぶりには子供達共々、親しみを覚えてやみません。
腕一本で、近代技術に頼らず、傍らには素朴な道具のみで、このあまりに複雑化した21世紀を渡って行ける、職人としての松木さんの生き方は、僕にとっては羨望に値するものです。
我が家ではまた慌ただしい朝が始まっています。陰ながら家族全員で松木さんの健康と活躍を応援しております。
ここのお宅には一人で伺ったので、地味な作業が続くことに初めは驚かれていました。お宅に泊めていただき、ご飯を一緒に食べて、思う存分仕事をさせていただいた上に、こんな言葉が頂けること、本当にありがたいです。
去年までの冬はアイゼンやピッケルで登れるくらい凍結した屋根も、今年は雪が滑り落ちて乾いているそう。
何年たってもこう言ってもらえるような職人でありたい。一生の宝物です。